錬膽護身 唐手術 1925年3月1日 初版発行 1996年12月25日 復刻版発行 2021年3月10日 普及版発行
「先の『琉球拳法 唐手』が大正十二年九月の関東大震災で紙型等が消失し、空手愛好家から「是非出版を」との希望が多く、大倉廣文堂から『錬膽護身 唐手術』と改題し、大幅な改訂を加えて、出版されたと聞いております。《中略》一九九六年当社よりの復刻版序文。」P7~8より引用
沖縄から本土に空手が渡り、普及のために富名腰義珍先生が上梓された本邦初の空手解説書の改訂版。
目次から見る限り、基本的な内容については『琉球拳法 唐手』を元に、改訂されたものだと思われます。
このころはまだ唐手であり、唐手術であったようですが、柔剣道に続き唐手を普及させるために尽力されていたことが偲ばれます。
本書にて、唐手についてや種類や価値などが語られ、練習法や教授法についても記載があり、基本的な拳の握り方から投げ技、型の順序についても写真付きで解説されていて、明治・大正期の空手の資料として、歴史的に貴重な資料になっているかと思います。
解説されている型は以下の通り。
- ピンアン初段
- ナイハンチ初段
- クーサンクー
- ピンアン二段
- ピンアン三段
- ピンアン四段
- ピンアン五段
- ナイハンチ二段
- ナイハンチ三段
- セーシャン
- パッサイ
- ワンシユウ
- チントウ
- ジッテ
- ジオン
それとは別に、唐手の種類として紹介されている型としては以下の通り。
「唐手の種類は随分夥しい。けれども、中には類似のものは省かれ、單調のものは忘られて、今現に行はれて居るものはそれ程でもない。昔の大家は狭くして深いけれども、今の稽古者は浅くして廣いのである。現今流行の手は「平安」が五段「ナイハンチ」が三段、「パッサイ」が大小に分かれて二段、「公相君」も大小で二段、其の他は皆一段づゝになつていてゐるが其の手の名は「五十四歩」・セーシャン・チントウ・チンテー・ジーン・ジッテ・ジオン・汪輯・ワンダウ・ローハイ・ジユウム・ワンドウ・ソーチン・二十四・二十六・一百零八・ワンクワン・コカン・雲手
・三進等であるが多少手の型を異にして二種になつたものもある。」p26より引用
なかなか考えさせられることの多い一文であったため丸々引用させてもらいました。

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